雲頂山は地図では「雲須山」と記載されているが、麓の黒川にある大明寺の山号が「雲頂山」
であることから、こちらの方が正しいのであろう。地元でも雲頂山と呼ばれているらしいが、地図
に一度掲載されると、それがメジャーになってしまう場合が多い。
氷上郡(現丹波市)では、粟鹿峰と呼んでいるが、地図には但馬側の粟鹿山の呼び名が採用
されて、ガイドブックなどもそうなっている。それくらいのちがいは山名そのものが大きく違わない
のでよしとしても、雲頂と雲須ではかなり違ってくる。国土地理院で訂正されない限り永遠に「須」
となるのではないか。
|
|
|

|
|
|
三本杉のある粟鹿峠 |
|
|
|
兼ねてからの懸案であったその雲頂山へやまあそさんと行くことにする。この山域は夏場は
ヒルの宝庫?なので、涼しくならないととても入れるところではない。
青垣町大稗の公民館に車を置かせてもらい(やまあそさんが通りかかった女性に断りをいれ
る)、まずは“お杉地蔵さん”をめざす。前回お杉地蔵を訪ねたのは粟鹿峰へ登ったときである。
、 |
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 陶芸の煙越しに粟鹿峰方面を眺める |
|
お杉地蔵さんへの峠道 |
|
|
前方には3本の杉の鞍部が目に入る。ここがお杉地蔵さんの峠である。前回と同じく、鉄塔
巡視路の標識から入っていく。すぐそばには、備前焼の窯元があり、煙突からはモクモクと煙
が出ていて集落を覆っている。以前よりも整備され、畑には壺がオブジェのように置かれ、さし
ずめ、青空美術館のよう。時間があればちょっと拝見してみたいところだ。焼き物用の薪置き
場もあり、たくさんの薪が積まれている。青垣町なら材木には不自由しないだろう。
少し歩くと以前はなかった猪柵があり、扉を開けて入る。一昨年の台風の影響で道はえぐら
れてすこし歩きにくい。
棚田あとには水路が残り、今は薄暗い植林も昔は耕作地として人々の往来があったのだろ
う。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| お杉地蔵 |
|
粟鹿峠 |
|
|
伐採地を過ぎると、つづらおれとなり、深く掘れた道を何度かターンしていくと、お杉地蔵さん
のある粟鹿峠である。お杉地蔵は以前と同じように大稗の方を向いてやさしく微笑んでいる。
「“天下太平”とはグローバルなお地蔵さんやね。」とやまあそさん。
登りはじめは寒かったがここまで来ると汗びっしょり。久々にお杉さんと対面し、なごりを惜し
みながら峠を下りていく。 |
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 粟鹿峠から林道へ下りる |
|
林道は荒れている |
|
|
谷に下り、倒木を2本越えると、林道に出る。黄色いテープを巻いた木はあったが、台風で土砂が
崩れ、沢も土砂や石で埋まっている。あらためて一昨年の台風の大きさを思い知らされる。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 石の道標を見つける |
|
もうすぐ峠 |
|
|
荒れているのは谷の合流地点だけで、その先は昔のままだ。一ノ瀬の林道を歩いているとピンク
のテープがヒラヒラしている。ここが峠への入り口である。
「このあたりには何かあるはず。」と出発前にやまあそさんが予想したとおり、石の道標を発見!
“左 たじま道”という道標を見ながら但馬への旅を急いだのだろうか。やまあそさんの洞察力はす
ばらしい!
谷に入ったところは少し不明瞭だが、昔の峠道が残っているのでそれを歩いていく。植林の中の
道は倒木で一時見失ったが、無事復帰。石碑から30分ほどで但馬丹波国界の杉ガタワ(けえ坂)
に出る。北へ歩くと粟鹿峰である。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| けえ坂から南へ |
|
ご夫婦を見送る |
|
|
「ここで休憩しよか。」とザックを下ろそうとすると、粟鹿峰の方からご夫婦連れが下りてこられる。
「たじまハイキング」を見て、黒川から粟鹿峰まで登り、戻ってこられたところだ。こんなところで人に
出会うとは思わなかった、とお互いに驚きあう。神戸の方で、六甲のガイドもされていたとか・・・。
ダニが多いと嘆いておられたが、丹波の山は真冬でも出てくるダニ。(^^;
けえ坂からは赤や黄テープがところどころについている。振り返ると粟鹿峰が大きくそびえている。
黒川への尾根の分岐にはテープがたくさんあり、ここでご夫婦とお別れする。けえ坂からここまでは
中央分水界であり、ご夫妻は分水嶺をよふど坂へ向けて戻って行かれた。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| いい谷やねえ |
|
自然の椎茸 |
|
|
「このあたりはちょっとややこしい。」と予想したとおり、いったん谷へ下り、谷から丹但界の尾根に
とりつく。こういうところはやまあそさんの地図読みは完璧で、黒川への尾根を少し歩いてから丹但
界尾根にとりつく方が高低差がない、と言っていたがなるほどその通りである。
谷はとてもいい雰囲気で、植林のあとにこんなすばらしい景色が待っているとは思いも寄らなかっ
た。
けえ坂への峠道は途中で分かれているが、その破線の道がこの谷へと続いている。しかし、道ら
しい踏み跡はない。やまあそさんは、この破線の道を黒川から途中まで歩いたことがあるという。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
いい谷やねえ |
|
|
|
尾根は雑木の林が続き、こんないいところがあったのか、と感動。コナラやクヌギが黄葉して植林
の多い青垣にもこんな林があったのだ。
西光寺山のLNWさんを父たぬきがコールしてみると、お昼も済んで、山頂の東屋におられた。そ
ろそろ下山されるようである。IXWさん、私と続いて交信する。うまく繋がってよかったね。西光寺
山は木々の間に見えるので交信できるのは当たり前かもしれないが、無線は電話と違いタイミン
グがあわないと交信できない。
交信している目の前に椎茸が出ている。ときどき山で出会うことがあるが、こんなにきれいに出て
いるのはなかなかお目にかかれない。写真だけ撮って出発する。 |
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
雲頂山方面を眺める |
|
|
|
木の間越しにはこれから向かう馬が背の東斜面が見える。一つの尾根だけが黄葉している。
「下山はたぶんあの尾根やねえ。」巡視路を下りる予定だが、あの黄葉の尾根のようだ。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
雑木の尾根を行く |
|
|
|
地図や遠くか望む馬が背は平坦に見えるが、歩いてみるとけっこうアップダウンが多い。しかし、
ずっと雑木の尾根でとても気持ちよく歩ける。西には青倉山が顔を覗かせる。反対側には岩屋山の
紅白鉄塔。これはいつも同定の目印になる。
国土調査のピンクテープが枝にぶら下がり風に揺れている。 |
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 基準点を覗き込む |
|
山頂までもうひといき |
|
|
青倉山へ行ったときに黒川ダムを囲む山々にあったが、そのときのものだろうか。途中のピークには新
しい基準点があり、周囲が刈り払われいる。雲頂山からダムの方へ伸びる尾根が望め、黄葉がとてもき
れいだ。
「次は、あそこを歩いてみたいねえ。」
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
雲頂山直下から北西の展望 (但馬の山々を望む) |
|
|
|
細くなった尾根を歩き、山頂直下まで来ると北方面の展望が開ける。
高曇りで遠望がきくので、但馬中央山脈の山々がくっきり。来日岳も浮かんでいる。
「海が見えてるんでは?」と父たぬきが言うほどの展望だ。
下山に使う巡視路への分岐を過ぎると馬が背である。地積調査の旗が揺れている。蘇武岳登山途
中のJCLだっちゃんがLNWさんをコールしておられるので、応答ししばらくお話しする。蘇武に登り今
夜は知人の山荘に宿泊とのこと。そのあとすぐにOAPさんの声が聞こえる。JMMさんととんがり山へ
登られているようだ。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
山頂で温かいものを作る |
|
|
|
じっとしていると寒い。暖かいものを食べ、コーヒーを飲んで雲頂山へ向かう。
馬が背から町界尾根をはずれて西へ少し歩くと雲頂山である。尾根は雑木だがすぐ下は植林。そ
の間から南の山々が見える。「あの山は?」とよく見ると千ヶ峰である。見る角度が違うと見慣れた
千ヶ峰もすぐには同定できない。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
北東には、雲の上に弥仙山や長老ヶ岳 |
|
|
|
雲頂山から北には粟鹿峰、そして北東には大箕山がどっしりと座っている。遠くには弥仙山の尖峰が
霧の上に浮かんでいる。長老ヶ岳も意外に近くに見える。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 雲頂山 |
|
鉄塔 |
|
|
雲頂山山頂(876.4m 三等三角点点名雲須山)にも旗が立ち、地籍調査のあとが残っている。
「黒川ダムが見えない。」とやまあそさん。尾根が西に長く延び、その下にあるダム湖は見えない。
引き返して馬が背の南にある鉄塔に向かう。市界尾根に戻り暗い植林の中を少し歩くとぽっかり開
いた空間。何かあったのかなあ?と話しているとすぐに鉄塔に出る。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
鉄塔から東の展望 |
|
|
|
やまあそさんによると、以前よりも周りの木が育ち展望が悪くなっているそうだ。あと数年すれば粟
鹿峰は見えなくなりそうだ。
それでも東や南の展望がよく、遠くまで見渡せる。東には紅白塔の岩屋山が指呼の間、その右に五
台山、尖った鷹取山は低く見える。水山の向こうは三嶽、最奥には京都の愛宕山がくっきりとしたシル
エットを見せている。目を北の方へやると、なだらかな長老ヶ岳。遠くの山並みは京都北山だろうか。
霧がたなびき墨絵の世界が広がる。
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
鉄塔から生野の山々を眺める |
|
|
|
鉄塔の南へ出ると、千ヶ峰、またに山、三国岳などが近くに見える。
「黒川ダムがやっと見えたよ。」とやまあそさんのうれしそうな声。風車のあるダムが眼下に見える。
生野の山が広がり、そのほとんどを踏破しているやまあそさんが順に名前をあげていく。さすがやま
あそさん、よくわかるものだ。 フトウガ峰の右にはOAPさん、JMMさんのおられるとんがり山も見
える。植林されていない山々は黄葉まっさかりでとてもきれいだ。
雲はますます厚くなり、雨の降り出しが近いようだ。 |
|
|
|
|
|
|
 |
|
|
巡視路の尾根を下りる |
|
|
|
馬が背に戻り少し下って巡視路を下りる。予想したとおり、雑木の尾根で、崩れかけたプラ階段が
落ち葉のしたに埋もれている。
「いいなあ。」と何度も言いながら下りる。
やまあそさんはこの尾根を雲頂山までピストンしたらしいが、かなり急である。
|
|
|
|
|
|
 |
|
 |
| 巡視路を林道に下りる |
|
大稗へ戻ってきました |
|
|
鉄塔2機を過ぎ、植林の中を下りると、一ノ瀬の林道に下りたつ。ここから鉄塔巡視路を歩き、大稗
に戻るつもりであるが、捜してもそれらしき道は見つからない。諦めてお杉地蔵さんを通って戻ること
にする。林道をしばらく歩くと、土砂が崩れて通行不能に。ここが粟鹿峠からの谷が合流しているとこ
ろで黄色のテープが巻かれた杉が目印である。
薄暗い谷を登り、再びお杉さんの前に。今度会えるのはいつになるだろうか。
大稗に戻ると、工房からはまだ煙が出ている。車に戻ると待っていたように雨が落ち始めた。播州
峠を通って帰るやまあそさんと別れ、家路を急ぐ。振り返ると三本杉のシルエットが闇の中に消えよ
うとしていた。
|
|
|
|
|
|
|
|