丹波新聞 1999年(平成11年)5月2日(日曜日)より掲載

水を張らず苗もつくらず 篠山市の川崎さん 種もみを直接まく
 篠山市下板井(旧西紀町)の専業農家・川崎計弘さんが、田植えの労力を省くために、水の張っていない田んぽに直接種もみを播くというユニークな農法「木耕起直播」(ふこうきちょくは)に取り組んでいる。この農法は、通常行う「すく」「苗代作り」「苗作り」の三つの作業を省く優れもので、広く普及すれぱ「水を張った田んぼに苗を植える」というこれまでの丹波の田植えの常識をくつがえすことになりそう。

 この農法は「イネが植物である」ことを利用したもの。川崎さんは、「田んぽは乾いているといっても雨が降るし、土壌には水分も含まれている。平均気温が十五度くらいになれぱ発芽の条件が整う」と言い、「発芽するんだから、育苗も田んぼに水を張る必要もない」と笑う。
 秋に稲刈りしたまま放っておいた田んぼに直接種もみを播くが、雑草が生い茂る場合は除草剤をまき、ある程度枯らしておくことがこの農法を成功させる重要なポイントだそう。「田んぽをすいたら土中にある種が地表にでてきて雑草の原因になる。耕やさなければかえって雑草も生えない」と「すく」作業は省く。田植えには岡山県のメーカーが開発したトラクター後部につける専用の装置を使用する。「種もみ」「肥料」「農薬」の三つのタンクと、田んぼを掘り起こし、土をかぶせるためのツメなどから成る。
▽ツメで土を二、三センチメートル掘り起こし、細い溝を作る
▽そこに農薬と肥料と種もみを落とす▽その上にツメで掘られた土が薄くかぶさるという仕組み。十アールあたり、四キロから五キロの種もみが必要になるが、ハウスで育苗しても同じくらいの種もみは必要だという。ただ、乾いたほ場でないとこの装置はうまく機能しない。種もみは、播いてから約二週間くらいで発芽し、その後約一週間で五センチほどに生長する。この時になって初めて水を張り、後は普の一通のコメ作りと同じ管理をする。川崎さんは「作業の省力化を考えた時、田植えまでで手間を省くしかないという結論に達した。この農法の場合、通常かかる作業時間の三分の一くらいで済む」とメリットをあげ、「『乾いた田んぼ』『雑草管理』これさえ誤らなけれぱ誰にでもできる。震業従事者の高齢化が叫ぱれる時代。省力化は重要」と話している。


丹波春秋
 「不耕起直播」農法に取り組んでいる川崎計弘さんの田植えを取材した。周りの田んぽは水をたたえてキラキラと輝いてい
るのに、川崎さんの田んぽだけポツンとカラカラに乾いていて、立ち枯れした雑草が生い茂っていた。
▼その雑草を気にする風でもなく、専用田植え装置で作業は進む。田植え装置のツメが小石をギャンギャンはね飛ぱす音が響く。長グツで田んぼに入って足が抜けなくなってこけた子どもの頃の思い出が嘘のようだ。とにかく専用田植え機がよくできている。「田植えは大変」というイメージは一変した。
▼川崎さんは、以前篠山市合併特集号でお話を何ったときに「十年後はまだしも二十年後になると担い手がなくなり、農業がどうなっているのか想像うかない」と警鐘を鳴らしておられた。「担い手が育たないから年寄りでも田植えができるように」と技術が進み、便利な機械が生まれる−。この図式自体は決して悪いことではないが、寂しいことだ。
▼どうせならここはひとつ全く逆の発想で、「泥まみれになることなく、楽して田植えができる。かっこいい農機具誕生」と松鳴奈々子さんあたりを起用して大々的に「スマート農業」キャンペーンをはってはどうか。「私でもできる」と松嶋さんあたりに言ってもらえれぱ、飛びつく若者も出てくるだろう。
▼工夫次第ではこの機械は若者の農業回帰に大いに役立つ可能性を秘めている。「家に田んぽがあるから放っとくわけにはいかない」と金と手間をつぎ込んで嫌々作業している兼業農家にもお勧めしたい。さあ、若者よ、大流行する前に飛ぴついて地元のヒーローになろうではないか。(T)


イベント情報
月・日 行事名 会  場 主  催 内      容
5・2 フリーマーケット「黄金市」 篠山城跡・城北グラウンド 篠山市篠山商工青年部 篠山市内外から約90店舗が出店、衣料品や雑貨、おもちゃ、飲食類などを販売。
5.3 河内家菊水丸ショー 篠山市の崑の村 同施設 菊水丸さんが作った「大村崑さん物語」のおひろめなどを予定。11時と15時の2回公演。
5.3
午前11時〜
大原祭り 市島町徳尾の大原神社 同神社氏子 祭礼とみこしの巡行など。
5・8
午後2時半〜
第1回ひかみ寄席 氷上町立植野記念美術館 同友の会 桂三枝氏の弟子、桂三扇さんの独演会。入場無料
5・9
午前9時から開会式
市島・三ツ塚マラソン大会 三ツ塚史跡公園周辺 市島・三ツ塚マラソン大会実行委員会 全国各地から2474人が申し込み。午前9時半に5キロの部、続いて10キロ、3キロ、ジョギングの部が出発する。
5.9
午前9時半から
第3回田ステ女俳句ラリー 柏原町内、柏原駅前で受け付け 実行委員会 元禄の四俳人の一人といわれる田ステ女にちなんで、町内を歩いて計4句の俳句を詠む。同時開催で「にわか市」も開かれる


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